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家庭菜園・野菜作り

種無しスイカは種がないのにどうやって栽培するのか?普通のスイカとの違いについて

2018-05-28T23:29:11+09:00 2018/05/28

もうすぐ6月です。

今年の半分まできたのかと思うと早いですね。

たぶん夏になるのもあっという間でしょう。

夏といえば、作物が沢山実る季節で菜園にもってこいの時期です。

ゴーヤ、トマト、ピーマン、枝豆、とうもろこしなど様々な野菜がありますがスイカが特に夏のイメージでしょう。

そのスイカなんですが、食べる時種が邪魔です。

私は、横着者なので食べながら咀嚼していますが、大体の人が食べながら口から出します。

または、最初に見える範囲の種を取ってから食べる人もいますが、どちらにせよ、手間がかかるのは変わりないです。

ですが、そんな手間がなくなるスイカがあります。

種無しスイカです。

種無しスイカのイラスト

販売当初は、新聞、メディアを飾り、高級品として見られたりもしたそうですが、最近はあんまり耳にしません。

そんな種無しスイカですが、どうやって栽培するのか疑問に思いませんか?

種がないのにどうやって?味は種ありと違うのか?実は農家の策略があった品であったなどなど、疑問に思ったことを今から述べたいと思います。

種無しスイカについて

ではまず、種無しスイカの特徴を説明します。

種なしスイカの特徴

  1. つるの勢いが強い。
  2. 黒い種がほとんどなくそのまま食べることができる。
  3. 普通のスイカよりも糖度が高い(13〜15度)。
  4. 黒い種「しいな」が点在してるが食べられる。
  5. 果肉が硬く、シャリ感がある。

です。

こうやって見ると普通のスイカより、質もよく、人気ありそうです。

ですが、もちろんデメリットもあり、種がないので次の代が作れない事、値段が高い事、種無しスイカを作るのに使うコルヒチンが有害を及ぼす可能性があるためです。

種がないので次の世代が作れないのは見てわかると思います。

値段はだいたい一玉2千円からスタートで、高いものだと1万円ぐらいします。

現在では、ネットでのお取り寄せ販売がメインです。

購入時は、値段をよく見て購入しましょう。

コルヒチンについては、種無しスイカの作り方で説明します。

種無しスイカの作り方と栽培方法

多くの人が勘違いしているのですが、種がないからといって遺伝子組換えで種無しスイカを作ったわけではありません。

種無しスイカの作り方について

種無しスイカは、元々種があるスイカ(染色体数が22本の2倍体)にコルヒチン処理という作業を加え、染色体の数を一気に増やし、通常の倍、44本の4倍体を作ります。

この4倍体スイカはまだ種ありスイカです。

その後通常のスイカと交配させると、種無しスイカ(3倍体)になります。

図がないとわかり難いと思うので、図で表すとこうなります。

 

通常の2倍体スイカの場合と3倍体の種無しスイカを図解で説明します。

染色体を2組持つ「2倍体」です。

2倍体の果物は、母親(めしべ)と父親(花粉)が2組ずつ染色体をもらい、受粉すると1組ずつの染色体が子どもに伝わり、親と同様に2倍体になるのが通常のスイカ。

図解1

さて、種なしスイカの場合は3倍体です。

 芽が出た頃に「コルヒチン」という物質を使用し、2倍体から4倍体へ、そして4倍体のスイカのめしべに2倍体のスイカの花粉を受粉させると子ども(つまりスイカ)は3倍体になり、種無しスイカになります。

この3倍体のスイカの種を育てると種なしスイカができます。

図解2

ちなみに、どうして種ができないかというと、3倍体だと正常に減数分裂ができないんだそうです。

そして、デメリットの一つである、種がないため子孫は残せないためこの代で終わりです。

誰が種無しスイカを作ったのか?また、現在の生産状況

種なしスイカの栽培法を開発したのは、遺伝学者の木原均である。

日本で開発された栽培手法ですが、現在は栽培に手間がかかること(人件費が価格に反映される)、コルヒチンは有毒であること、食味などがあり消費者に好まれないこと、スイカの種を除去して食べる事がさほど厭わない事(手間と思われていない)から、生産は非常に少ないんだそうです。

そのため新しい育成法も研究されている。

種無しスイカの栽培方法

種なしスイカの育て方は通常のスイカとほぼ同じ作り方です。

大型トンネル(270㎝以上)を使って、整枝栽培かトンネル移動式栽培にします。

1株に2〜3個、果実をつけるようにし、つるの勢いが強いのでこまめに整枝します。

交配は自分の花粉をつけても実がならないので他の普通の品種の花粉をつけます。

なので、種ありスイカと混植して置くか人工交配をする事を視野に入れてから栽培を開始したほうがいいでしょう。

種無しスイカについての余談

日本で開発された種無しスイカですが、東南アジアでは非常に人気が高く、栽培が盛んに行われているそうです。

理由は人件費が低く栽培の手間が価格にあまり反映されない事と、飲料水の品質が非常に悪い地域が多く、果物を食すというよりも水・ジュース代わりとして食べられており、早急に喉の渇きを潤したい土地の人にとっては、種を除去する手間がない種無しスイカは大変好まれ、重宝されているんだとか。

そして、この手法は種無しスイカだけでなく、種なしブドウ、ニジマスの養殖でも用意られているそうです。

ぶどうの場合はジベレリンというものが使われていて、ニジマスは3倍体雌魚は不稔(ふねん:種子がない)であるので、成熟期になっても肉質の低下、成長の停滞がないため、肉質の良い大型魚の生産に使われています。

このように大量生産や快美性(生産的、有効的、満足的、安全的)をつきつめていった結果、通常自然界ではめったに存在しないものを人工的に作り出しているのが今の生産状況、農業界です。

 ちなみに種なしビワの「希房」も3倍体です。

種なしぶどうと同じくジベレリン処理を行うことで果実を着果・肥大させています。

なお、りんごにも「ジョナゴールド」「陸奥」「北斗」など3倍体の品種があります。

これらは種入りですが、花粉に生殖能力がありません。また、そのほかにも4倍体や6倍体などの果物もあります。

種無しスイカは農家の戦略だったという噂は本当か?

以上が種なしスイカの作りかたです。

種無しスイカについてなるべくわかりやすく解説したつもりではありますが、どうだったでしょうか?

そもそも私が今回種無しスイカについて調べるにあたった経緯は前回に投稿した記事、田舎に暮らしている農家でお茶摘み体験に行ったのがきっかけでした。

そこでの交流会の催しものの中で特別講演会というものがあり、種について研究している大学教授が話の中で「種無しスイカは、農家の戦略だった」と言ったのが衝撃的でした。

ただ、利便性のために作られたのではなく、世界規模の事がスイカにも起きているんだ!と。

そして、現在、海外では種なし果実のニーズが確実に高まっていて、世界的に見れば、日本は種なし青果開発で遅れをとっているんだそうです。

種無しスイカはサプライズや景品などで使われています

種無しスイカはスーパーなどから姿を消し、日本では全く使われないのかというとそんな事はなく、一部のイベント事などで使われています。

中でも有名なのが、ブラックジャックスイカです。

インパクトあり、ブラックジャックスイカは表皮は漆黒の黒で驚き!包丁を入れると種がなくて驚き!食べると種なしなのにおいしい!という事で、父の日や誕生日プレゼントなどで、中には社内イベントの景品などにもご注文頂いています!みなさんやっぱりサプライズギフトに注文されているそうです。

ブラックジャックスイカは品質の特性上、100%種がないかというとそうではありません。

ものすごく薄くて白い種が交じることはあります。

ですが通常の種と比べると一緒に食べたことにも気づかないほどのもので、万が一飲み込んだとしても健康上に影響はありません。

数が少なく、大変人気があるのであっという間になくなってしまうらしいので、注文の際は早いめにがいいでしょう。

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